税理士事務所に勤務していた頃は、会計ソフトや税務システムに手入力する代わりにまとまったデータとして取り込むことができるということを全く知らなかったため、データはすべて手入力していました。
また、必要な資料を作成する際にはパソコンの画面や紙で出力されたものを見ながら別の紙に転記したりExcelの表に入力したりしていました。
事務所を辞めてからは時間ができたので、それまで漠然と「Excelの関数とかマクロというものを使ったら色々と仕事が楽になるのかも知れない」と考えていたことを確かめるために、Excelを学んでみることにしました。最初は確か何か本を買ったと思うのですが、その後は主にインターネットの記事を読んで勉強しました。
思いついたものを次々に作ってみる、ということを行ってきましたが、今でも使っていて結構役に立っているなと思うのは以下のものです。
年間推移表の作成(JDLIBEX出納帳)
会計ソフトとしてJDLIBEX出納帳を使用している場合、年間推移表が画面で見られません。
ここでいう年間推移表というのは、勘定科目が縦に並んでいて横に1月、2月、と月が並んでいるような表のことです。
JDLIBEX出納帳にも「月次損益計算書」を印刷するメニューがあり、そこでプレピュー画面を表示すれば年間推移が見られるのですが、印刷メニューのプレピュー画面であることから大変見づらいです。
これが見られないと経費の計上を忘れていたり、異常値が出ていたり、勘定科目を誤って指定したりしていても気づきにくいため、会計ソフトから出力したCSVデータを加工して年間推移表のかたちに集計・並べ替えをしたExcelのワークシートを作成しました。
顧問先で月次の入力や確認を行った後いったんこの表を作成して、売上高や経費の状態を一覧にして確認することができており、大変安心感があります。
また、決算が近くなってくる時期には、この表を元にして予算(利益の予測)を作成しています。
未経過の月には前期の実績や当期の実績をもとにして計算した予算の数字を入れておき、実績の確定が1月分進んだら、そこまでの部分を上書きすれば未経過の月の予算の数字が再計算されるようにExcelの計算式を作成しています。
以前はこういった表も会計ソフトとExcelとでパソコンの画面を切り替えながら全部手入力で作成しており、ものすごく時間がかかっていました。それに比べて本当に短時間で表が作成できますし、再作成も簡単なので大変助かっています。
所得税・住民税の計算
もともと住民税の計算方法はよくわかっていませんでした。
所得税は申告納税方式なのでその計算方法がきちんと説明されているのですが、住民税は賦課課税方式であるためなのかその計算方法はあまり詳しく説明されていないと思います。
ふるさと納税の制度が始まった際にその仕組みが知りたかったのですが、ふるさと納税は所得税の所得控除と住民税の税額控除で行われるので、住民税の計算方法を理解する必要がでてきました。
そこでこれを機会に所得税と住民税の計算をExcelのワークシートでやってみよう、と思って作成してみました。
その結果、ふるさと納税の効果をよく理解することができ、ふるさと納税の寄付金の額のめやすを計算することもできるようになりました。
また、顧問先に対して所得税の確定申告書を作成した段階で所得税額と一緒に住民税額をお伝えすることができるのも有益です。
税務システムで所得税の確定申告書を作成している場合と比べて全体を俯瞰で眺めやすい感じがします。
源泉所得税の納付書に記載する金額の計算
源泉所得税の納付書(納期特例分)の記入をする場合、「人員」「支給額」「税額」の計算をするのに手間がかかっていました。給与を管理するためのExcelのファイルは別に作成してありましたので、それを参照しにいって集計するようにしました。
支給日の範囲(1月から6月まで、または7月から12月まで)ごと・給与と賞与の区分ごとに「人員」「支給額」「税額」を集計しています。
また、私は年末調整を行った場合の「年末調整による超過税額」「本税」の欄に記載すべき金額や、還付未済金がある場合の還付未済金額を計算するのが苦手で、計算するたびに考え込んでしまって時間がかかって仕方がありませんでした。
それで、各欄に記載すべき金額及び還付未済金額を自動計算するExcelのファイルを作成しました。これにより、表示された金額を何も考えないでただ転記するだけで良いようになりました。源泉所得税の納付書を電子申告で送信できるようになったこともあり、かなり作業が楽になりました。