住民税の課税方式の選択について(配当所得・株式等譲渡所得)(1)

住民税の申告書を提出することにより、特定配当等に係る所得及び特定株式等譲渡所得金額に係る所得について、住民税において所得税等と異なる課税方式を選択することができます。

以前の記事を参照 → 住民税について所得税の確定申告書の第二表に書く内容 の 配当割額控除額・株式等譲渡所得割額控除額

目次【本記事の内容】

  1. 「特定配当等」「特定株式等譲渡所得金額」の意味
  2. 平成29年度税制改正の大綱において明確化
  3. 課税方式の選択の違いによる税額等の試算について
  4. 源泉徴収口座についての細かいルール

「特定配当等」「特定株式等譲渡所得金額」の意味

「特定配当等」「特定株式等譲渡所得金額」とは何を指すかというと、地方税法に以下のように定義されています。

地方税法地方税法第23条第1項第15号

特定配当等 租税特別措置法第8条の4第1項に規定する上場株式等の配当等及び同法第41条の12の2第1項各号に掲げる償還金に係る同条第6項第3号に規定する差益金額をいう。

地方税法地方税法第23条第1項第17号

特定株式等譲渡所得金額 租税特別措置法第37条の11の4第2項に規定する源泉徴収選択口座内調整所得金額をいう。

国税庁の確定申告書作成コーナーを参照してみると、「2 配当割額控除額」のところに、

平成29年中に道府県民税配当割額(5%の税率)が特別徴収されたいわゆる特定配当等の額及び道府県民税株式等譲渡所得割額(5%の税率)が特別徴収されたいわゆる特定株式等譲渡所得金額について、・・・・

とありますので、「住民税が特別徴収された配当」「住民税が特別徴収された株式等譲渡所得金額」とひとまず理解しておけば良いと思います。

平成29年度税制改正の大綱において明確化

住民税において所得税等と異なる課税方式を選択することができることは、「平成29年度税制改正の大綱」において明確化されています。

平成29年度税制改正の大綱 ~ 6 その他 ~ (地方税)〈個人住民税〉 ~ (9)

これに伴って、総務省から都道府県知事に対して通達が出ています。

総税市第26号

総税市第26号(別添)~ 第2章 市町村民税 ~ 第2節 課税標準及び税率 ~ 第3 課税標準 16の3 の部分に記載されています。

課税方式の選択の違いによる税額等の試算について

配当所得・株式等譲渡所得について、所得税・住民税においていずれの課税方法を選択した場合に最も税額等の負担が少なくて済むのかについては、試算をして判断するのが良いと思います。

配当所得

配当所得は、総合課税・申告分離課税・申告不要のいずれかを選択することができます。

このうち、申告分離課税・申告不要については、いずれを選択しても税率が変わらない(所得税等 15.315%、住民税 5%)ので、課税方式の選択肢は「総合課税」「申告分離課税・申告不要」の2つに分けて考えれば良いと思います。

まず所得税については、総合課税を選択して配当控除を受けることにより、配当の種類や課税所得金額によっては実質的な税率が「申告分離課税・申告不要」を選択した場合の税率(15.315%)を下回りますので、「総合課税」「申告分離課税・申告不要」のそれぞれの場合で試算すれば良いと思います。

一方、住民税については、総合課税を選択して配当控除を受ける場合、課税所得金額がいくらであっても、実質的な税率が「申告分離課税・申告不要」を選択した場合の税率(5%)を上回りますので、試算をしなくても常に申告不要を選択すれば良いと思います。(申告分離課税を選択することで有利になる点が無いと思われるため、申告不要を選択することとしています。)

従って、試算をする際の場合分けとしては、

①所得税 総合課税、住民税 申告不要

②所得税 申告不要、住民税 申告不要

の2つの場合で良いと思います。

株式等譲渡所得

株式等譲渡所得は、申告分離課税・申告不要のいずれかを選択することができます。申告分離課税・申告不要については、いずれを選択しても税率が変わりません(所得税等 15.315%、住民税 5%)。

まず所得税については、その年又は前年において株式等譲渡所得について譲渡損失が生じている場合には、申告分離課税を選択して株式等譲渡所得について損益通算・繰越控除の規定の適用を受けることにより、その年または翌年の所得税等の額は少なくなりますので、申告分離課税を選択すれば良いと思います。

一方、住民税については、申告分離課税を選択して株式等譲渡所得について損益通算・繰越控除の規定の適用を受けることにより所得税等と同様に住民税の額は少なくなりますが、損益通算・繰越控除の規定の適用を受けた後の株式等譲渡所得の金額が国民健康保険料等の計算の基礎となる金額に算入されますので、反対に国民健康保険料等が増加する可能性があります。

従って、株式等譲渡所得について譲渡損失が生じている場合の試算をする際の場合分けとしては、

①所得税 申告分離、住民税 申告分離

②所得税 申告分離、住民税 申告不要

の2つの場合で良いと思います。

源泉徴収口座についてのルール

平成29年分 株式等の譲渡所得等の申告のしかた(記載例)の57ページに、源泉徴収口座についての細かいルールが記載されています。

【注 意】
源泉徴収口座の譲渡所得等の金額又はその源泉徴収口座の配当所得等の金額の申告に当たっては、次の点に注意してください。

1 源泉徴収口座の譲渡所得等の金額又はその源泉徴収口座の配当所得等の金額を申告するかどうかは口座ごとに選択できます(1回の譲渡ごと、1回に支払を受ける上場株式等の配当等ごとの選択はできません。)。

2 源泉徴収口座の譲渡所得等の黒字の金額とその源泉徴収口座の配当所得等の金額のいずれかのみを申告することもできます。ただし、源泉徴収口座の譲渡損失の金額を申告する場合には、その源泉徴収口座の配当所得等の金額も併せて申告しなければなりません。

3 源泉徴収口座の譲渡所得等の金額又は配当所得等の金額を申告した後に、その譲渡所得等の金額又は配当所得等の金額を申告しないこととする変更はできません。また、源泉徴収口座の譲渡所得等の金額又は配当所得等の金額を含めないで申告した後に、その譲渡所得等の金額又は配当所得等の金額を申告することとする変更もできません。

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