住民税の課税方式の選択について(配当所得・株式等譲渡所得)(3)

地方税法の規定

地方税法の第313条第12項、第13項に以下のような規定があります。

12 特定配当等に係る所得を有する者に係る総所得金額は、当該特定配当等に係る所得の金額を除外して算定するものとする。

13 前項の規定は、特定配当等に係る所得が生じた年の翌年の4月1日の属する年度分の特定配当等申告書(市町村民税の納税通知書が送達される時までに提出された次に掲げる申告書をいう。以下この項において同じ。)に特定配当等に係る所得の明細に関する事項その他総務省令で定める事項の記載があるとき(特定配当等申告書にその記載がないことについてやむを得ない理由があると市町村長が認めるときを含む。)は、当該特定配当等に係る所得の金額については、適用しない。ただし、第1号に掲げる申告書及び第2号に掲げる申告書がいずれも提出された場合におけるこれらの申告書に記載された事項その他の事情を勘案して、この項の規定を適用しないことが適当であると市町村長が認めるときは、この限りでない。

一 第317条の2第1項の規定による申告書
二 第317条の3第1項に規定する確定申告書(同項の規定により前号に掲げる申告書が提出されたものとみなされる場合における当該確定申告書に限る。)

第12項を読むと、配当所得(特定配当等に係る所得)については住民税では原則的に「申告不要」となるように思われます。

しかし第13項において、確定申告書を提出した場合には第12項の規定が適用されない(=申告不要にならない)ことになっています。

名古屋市の市民税課に電話で確認

名古屋市の市民税課に電話で確認してみた結果、

  1. 所得税の確定申告書で「申告不要」を選択 → 住民税も「申告不要」の取扱い
  2. 所得税の確定申告書で「総合課税」を選択 → 住民税も「総合課税」の取扱い
  3. 所得税の確定申告書で「分離課税」を選択 → 住民税も「分離課税」の取扱い

ということでした。

以前に書いていた記事の内容と同じです。(→ 住民税について所得税の確定申告書の第二表に書く内容 の 配当割額控除額・株式等譲渡所得割額控除額

「所得税の確定申告において配当所得について総合課税を選択している場合」について詳しく聞いてみると、

  • 所得税の確定申告書を期限内に提出した場合 → 住民税においても総合課税扱い
  • 所得税の確定申告書を期限内に提出しなかった場合 → 住民税においては申告不要扱い
  • 所得税の確定申告書を全く提出しなかった場合 → 住民税においては申告不要扱い

とのことでした。

配当所得について所得税において「総合課税」を選択していた場合、住民税において自動的に「申告不要」として扱われることはない、ということです。

配当所得について所得税において「総合課税」を選択し住民税において「申告不要」を選択する場合、名古屋市においては市民税・県民税申告書を提出し、それに加えて課税方式の確認のために「特定配当等及び特定株式等譲渡所得金額の課税方式の申出書」を提出する必要があります。

→ 名古屋市のホームページ 下の方に「上場株式等に係る市民税・県民税の課税方式の選択について」という項目があります。

配当所得について所得税と市民税・県民税とで異なる課税方式を選択しようとする場合の手続きについては市町村ごとに違いがある可能性がありますのでその都度確認しなければならないと思います。

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