小規模企業共済で所得税・住民税の節税

制度についてはこちら → 小規模企業共済

小規模企業共済制度は、小規模企業の個人事業主、共同経営者または会社等の役員が個人事業主の廃業、個人事業主の廃業に伴う共同経営者の退任、疾病・負傷による共同経営者の退任、会社等の解散、会社等の役員の疾病・負傷・老齢による退任をした場合等、第一線を退いたときの生活の安定または事業の再建等を図る資金をあらかじめ準備しておくための共済制度です。

目次【本記事の内容】

  1. 掛金の額と税務上の取り扱い
  2. 加入資格
  3. 個人事業主が加入し、その後法人成りした場合
  4. 個人事業主の共済事由と共済金等(共済金等の支給を受ける場合)
  5. 個人事業主の解約事由(解約する場合)
  6. 会社等役員の共済事由と共済金等(共済金等の支給を受ける場合)
  7. 会社等役員の解約事由(解約する場合)
  8. 共済金・準共済金の額
  9. 共済金・準共済金の受け取り方法
  10. 共済金・準共済金の受け取り時の税法上の取扱い
  11. 解約手当金の支給率
  12. 解約手当金の受け取り方法
  13. 解約手当金の受け取り時の税法上の取扱い
  14. 共済契約者貸付制度
  15. 個人事業主の加入の検討

掛金の額と税務上の取り扱い

掛金月額は、1,000円から70,000円までの範囲内(500円単位)で自由に選択できます。

小規模企業共済は、個人型確定拠出年金と同じく、掛金の全額が所得税法の所得控除「小規模企業共済等掛金控除」の対象になりますので、所得税・住民税の節税になります。

加入資格

加入資格は以下の通りです。

1.建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)、不動産業、農業などを営む場合は、常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主または会社等の役員

2.商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)を営む場合は、常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または会社等の役員

3.その他

「会社等の役員」とは、株式会社・有限会社の取締役または監査役の方、合名会社・合資会社・合同会社の業務執行社員の方を指します(ただし外国法人の役員は除く)。

個人事業主が加入し、その後法人成りした場合

法人成りし、その会社の役員たる小規模企業者となった場合には解約事由に該当しますが、解約手当金の支給を受けず、所定の手続きを行うことにより、それまでの掛金納付月数を通算して共済契約を続けることができます。

個人事業主の共済事由と共済金等(共済金等の支給を受ける場合)

個人事業主の共済事由としては、

<A共済事由>

  • 個人事業の廃止
  • 個人事業主の死亡

 

<B共済事由>

  • 老齢給付(65歳以上で180か月以上掛金を納付した方は請求することにより受給権を得ます)

 

<準共済事由>

  • 法人成りし、その会社の役員に就任しなかった
  • 法人成りし、その会社の役員に就任した(役員たる小規模企業者となったときを除く)

 

があります。

受け取る共済金等の額は、大きいものから順に、共済金A(A共済事由によるもの) > 共済金B(B共済事由によるもの) > 準共済金(準共済事由によるもの)となります。

個人事業主の解約事由(解約する場合)

解約事由としては、

・任意解約

・中小機構による共済契約の解除(12か月以上の掛金滞納等)

・個人事業主が法人成りし、その会社の役員たる小規模企業者となった

があります。

会社等役員の共済事由と共済金等(共済金等の支給を受ける場合)

会社等役員の共済事由としては、

<A共済事由>

  • 会社等の解散

<B共済事由>

  • 会社等役員の疾病・負傷・65歳以上による退任
  • 会社等役員の死亡
  • 老齢給付(65歳以上で180か月以上掛金を納付した方は請求することにより受給権を得ます)

<準共済事由>

  • 会社等役員の退任(疾病・負傷・65歳以上・死亡・解散を除く)

があります。

受け取る共済金等の額は、大きいものから順に、共済金A(A共済事由によるもの) > 共済金B(B共済事由によるもの) > 準共済金(準共済事由によるもの)となります。

会社等役員の解約事由(解約する場合)

解約事由としては、

  • 任意解約
  • 中小機構による共済契約の解除(12か月以上の掛金滞納等)

があります。

共済金・準共済金の額

<共済金A・B>

  • 共済事由が生じた時点で、掛金納付月数が6か月以上の場合に受け取れます。(6か月未満は掛け捨てとなります)
  • 共済事由が生じた時点で、掛金納付月数が36か月未満の場合は、共済金は掛金合計額と同額となります。
  • 共済金Aの額は、概ね25年目までに共済事由が生じた場合は、掛金を約1.5% の率で複利運用した元利合計額となり、概ね25年目以降35年目までの間に共済事由が生じた場合は1.5%から1.0%に向けて段階的に低下し、35年目以降共済事由が生じた場合は概ね1.0%に見合ったものとなります。
  • 共済金Bの額は、掛金を「予定利率」と概ね同率の1.0%の率で複利運用した元利合計額に見合ったものとなります

<準共済金>

  • 共済事由が生じた時点で、掛金納付月数が12か月以上の場合に受け取れます。(12か月未満は掛け捨てとなります)
  • 掛金納付月数が222か月(18年6か月)までは掛金合計額、223か月(18 年7か月)以降は共済金Bの91%相当額となります。

共済金・準共済金の受け取り方法

共済金等の受け取り方法には、「一括受取り」、「分割受取り」および「―括受取りと分割受取りの併用」の3種類があります。

 

<共済金A・共済金B>

「一括受取り」「分割受取り」「一括受取りと分割受取りの併用」ができます。

(「分割受取り」「一括受取りと分割受取りの併用」をする場合には、一定の要件を満たすことが必要)

 

<準共済金>

「一括受取り」のみとなります。

共済金・準共済金の受け取り時の税法上の取扱い

  • 一括受取り共済金(死亡以外) → 退職所得扱い
  • 一括受取り共済金(死亡によるもの) → 死亡退職金扱い
  • 分割共済金 → 公的年金等の雑所得扱い
  • 準共済金 → 退職所得扱い

解約手当金の支給率

  • 解約手当金は、掛金納付月数が12か月以上の場合に受け取れます。(12か月未満は掛け捨てとなります)
  • 解約手当金の額は、掛金納付月数が12か月以上84か月未満までは支給率 80%、 84か月目から6か月単位で支給率が段階的に増加し、240か月以上 246か月未満では支給率100%、以降段階的に増加し、最高で120%となります。(240か月未満は掛金合計額を下回ります)

支給率は以下のようになります。

掛金区分ごとの掛金納付月数  支給率
1月~  11月            0% (無支給)
12月~ 83月       80.00%
84月~ 89月       80.50%
90月~ 95月       81.25%

(以降6か月ごとに0・75ポイントずつ割合が増加)

240月~245月      100.00%

(以降6か月ごとに0・25ポイントずつ割合が増加)

474月~479月      109.75%
480月~          110.00%

720月           120.00%

解約手当金の受け取り方法

<解約手当金>

「一括受取り」のみとなります。

解約手当金の受け取り時の税法上の取扱い

  • 任意解約 → 一時所得扱い(65歳以上の場合は退職所得扱い)
  • 中小機構による共済契約の解除(12か月以上の掛金滞納等) → 一時所得扱い
  • 法人成りし、その会社の役員たる小規模企業者となった → 退職所得扱い

なお、一時所得の金額を計算する際、納付した掛金の総額は支出した金額として算入できません。

共済契約者貸付制度

共済契約者が納付した掛金から算定した貸付限度額の範囲内で、事業資金等の貸付けが受けられます。

(1)ー般貸付け

簡易迅速に事業資金または事業に関連する資金を貸付ける制度

(2)傷病災害時貸付け

疾病または負傷により一定期間入院をしたため、または災害救助法の適用された災害等または一般災害(火災、落雷、 台風、暴風雨等)により被害を受けたため経営の安定に支障が生じた場合に事業資金を貸付ける制度

(3)創業転業時・新規事業展開等貸付け

(創業転業時)
掛金納付月数通算制度の利用により、新規開業・転業後に共済契約を再び締結する意思を有する者に対して、新規開業・転業を行う場合に必要な資金を貸付ける制度

(新規事業展開等)
共済契約者の事業多角化に要する資金および共済契約者の後継者が新規開業に要する資金または事業多角化に要する資金を共済契約者に貸付ける制度

(4)福祉対応貸付け

共済契約者または同居する親族の福祉向上のために必要な住宅改造資金、福祉機器購入等の資金を共済契約者に貸付ける制度

(5)緊急経営安定貸付け

経済環境の変化等に起因した―時的な売上の減少により、 資金繰りに著しい支障をきたしている共済契約者に経営の安定を図るための事業資金を貸付ける制度

(6)事業承継貸付け

事業承継に要する資金を貸付ける制度

(7) 廃業準備貸付け

廃業(個人事業の廃止または会社の解散)を円滑に行うために要する資金を貸付ける制度

個人事業主の加入の検討

共済金・準共済金・解約手当金について、一覧表にまとめてみました。 → 小規模企業共済

個人事業主が加入した場合、掛金の全額が所得控除されるため、

・所得税

・住民税

の額を少なくすることができます。

 

個人事業主のままで共済契約を継続した場合(法人成りをしなかった場合)、

・個人事業を廃止 → 共済金Aを退職所得扱いで受け取る

・65歳になる → 共済金Bを退職所得扱いで受け取る

ことになります。(分割で受け取る場合は公的年金等の雑所得扱いになります)

 

法人成りをした場合は、通常その会社の役員になると思いますので、

・共済契約を継続する

・解約する

のいずれかを選択することになります。

 

解約した場合は、解約手当金を退職所得扱いで受け取ることになります。

会社等の役員として共済契約を継続した場合、

・会社等の解散 → 共済金Aを退職所得扱いで受け取る

・会社等役員の退任 → 共済金B又は準共済金を退職所得扱いで受け取る

・65歳になる → 共済金Bを退職所得扱いで受け取る

ことになります。(分割で受け取る場合は公的年金等の雑所得扱いになります)

 

任意解約をする場合は、個人事業主であっても、会社等の役員であっても、解約手当金を一時所得扱いで受け取ることになります。

一時所得の計算式は、

 

(国税庁ホームページより)

一時所得の金額は、次のように算式します。

総収入金額-収入を得るために支出した金額(注)-特別控除額(最高50万円)=一時所得の金額
(注) その収入を生じた行為をするため、又は、その収入を生じた原因の発生に伴い、直接要した金額に限ります。

一時所得は、その所得金額の1/2に相当する金額を給与所得などの他の所得の金額と合計して総所得金額を求めた後、納める税額を計算します。

 

となりますが、納付した掛金の総額は「収入を得るために支出した金額」に算入できません。

 

まとめると、

  • 小規模企業共済に加入している間は、所得税・住民税の額を少なくすることができる。

その後は、

  • 個人事業の廃止・会社の解散・会社等役員の退任又は65歳になるまで共済契約を継続して退職所得扱いで受け取る。
  • 資金が必要になった時点で任意解約して一時所得扱いで受け取る。

のどちらかを選択する、ということになります。

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