所得税の確定申告不要制度

所得税の確定申告不要制度については、所得税法の第121条「確定所得申告を要しない場合」に規定されています。

その年分の所得が給与所得と公的年金等に係る雑所得のみであった場合の、所得税の確定申告不要制度について考えてみます。

年金所得者に係る確定申告不要制度

年金所得者に係る確定申告不要制度については、第121条の第3項に規定されています。

3 その年において第35条第3項(雑所得)に規定する公的年金等(以下この条において「公的年金等」という。)に係る雑所得を有する居住者で、その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下であるものが、その公的年金等の全部(第203条の6(源泉徴収等を要しない公的年金等)の規定の適用を受けるものを除く。)について第203条の2(公的年金等に係る源泉徴収義務)の規定による所得税の徴収をされた又はされるべき場合において、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額(利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、給与所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額、一時所得の金額及び公的年金等に係る雑所得以外の雑所得の金額の合計額をいう。)が20万円以下であるときは、前条第1項の規定にかかわらず、その年分の課税総所得金額又は課税山林所得金額に係る所得税については、同項の規定による申告書を提出することを要しない。

公的年金等の収入金額が400万円以下であっても給与所得の金額が20万円を超えていたら、年金所得者に係る確定申告不要制度の対象とはならないことになります。

給与所得者に係る確定申告不要制度

給与所得者に係る確定申告不要制度については、第121条の第1項に規定されています。

その年において給与所得を有する居住者で、その年中に支払を受けるべき第28条第1項(給与所得)に規定する給与等(以下この項において「給与等」という。)の金額が2000万円以下であるものは、次の各号のいずれかに該当する場合には、前条第1項の規定にかかわらず、その年分の課税総所得金額及び課税山林所得金額に係る所得税については、同項の規定による申告書を提出することを要しない。ただし、不動産その他の資産をその給与所得に係る給与等の支払者の事業の用に供することによりその対価の支払を受ける場合その他の政令で定める場合は、この限りでない。

一 一の給与等の支払者から給与等の支払を受け、かつ、当該給与等の全部について第183条(給与所得に係る源泉徴収義務)又は第190条(年末調整)の規定による所得税の徴収をされた又はされるべき場合において、その年分の利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額、一時所得の金額及び雑所得の金額の合計額(以下この項において「給与所得及び退職所得以外の所得金額」という。)が20万円以下であるとき。

二 (省略)

第1項第二号には「二以上の給与等の支払者から給与等の支払を受けている場合」の規定が続きます。

給与所得について年末調整を受けている場合には、雑所得の金額が20万円以下であれば給与所得者に係る確定申告不要制度の対象になることになります。

住民税の申告も不要になる場合

給与については給与支払報告書が、公的年金等については公的年金等支払報告書が、それぞれ支払者から市町村に提出されますので、その年分の所得が給与所得と公的年金等に係る雑所得のみであった場合は、住民税の申告も不要となります。

タイトルとURLをコピーしました